捏造事件から学ぶ考古学 
                                             平成16年11月26日
                                            (株)アルカ 角張淳一

   1. 捏造事件の歴史: 捏造事件には前半と後半があり、前半の捏造遺跡が本質を示している。

発掘 主要な遺跡 発掘調査
報告書
主体的な発掘組織 1 年間の発掘件数 成果 発掘前の準備
前半
1976〜1989
座散乱木遺跡第1〜3次、
馬場壇A遺跡第1〜6次
あり 宮城県立東北歴史資料館
(国・県をあげての応援)
年1回程度 西欧の成果(当時の
世界標準)と概ね一致
入念で慎重な地層の把握。
石器の勉強会。先行論文あり。
後半
1990〜2000
上高森遺跡、袖原遺跡、
総新不動坂遺跡
なし 民間研究所:
東北旧石器文化研究所
年数回以上 西欧の成果と矛盾 不明


   
2. 捏造事件の本質: 前半の遺跡に本質が隠されている。先行論文と発掘結果が一致することが特徴であり、さらに先行論文は当時の西欧の成果に準拠しているのが重要である。「旧石器時代」の呼称には、西欧とアジアの先史文化を進化論的に一致させて捉えるという思想がみえる。

調査次数 発掘 報告書 専門家 時期 特筆される成果
座散乱木遺跡
第1次
1976年10月29日
〜11月4日
1978年 岡村道雄・鎌田俊昭他 縄文〜 後期旧石器? 世界で二番目に古い動物形土製品
先行文献 『古代史発掘 最古の狩人』芹沢長介1974講談社
西欧との対比 チェコのドルニ・ヴェストニッチェ遺跡
備考 微隆起線文土器・10層(前期旧石器)の断面採集

調査次数 発掘 報告書 専門家 時期 特筆される成果
座散乱木遺跡
第2次
1979年9月21日
〜10月4日
1980年12月 梶原洋・東北大院生他 後期旧石器時代 使用痕研究
先行文献 キーリー論文(1979.12)
西欧との対比 メーア遺跡(1978)
備考 断面採集の前期(現今の中期)旧石器掲載

調査次数 発掘 報告書 専門家 時期 特筆される成果
座散乱木遺跡
第3次
1981年9月26日
〜10月16日
1983年4月 岡村道雄他 当時の前期(現今の中期)旧石器 前期旧石器論争の決着。
自然科学分析の駆使。
先行文献 「日本前期旧石器の始源と終末」『考古学研究』岡村道雄1976他
西欧との対比 ムスチエ文化。斜軸尖頭器は「ルヴァロワポイント」の訳語(『古代東北文化の源流』加藤 稔著)。
備考 最下層の地層年代が、正式報告書では4万年前。事前調査・概報では7万年前。